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2008年9月10日 (水)

3Dムービーの作り方③

第3章 撮影方法

■ 立体映像撮影で最も大切なのは、カメラから被写体までの距離を考えて撮影することである。
カメラから被写体までの適切距離を厳密に計算するには、ステレオベースや、レンズの焦点距離、鑑賞時のスクリーンサイズなどを考慮にいれて複雑な式を解かないといけない。 ただし、今回は簡単に3Dムービーを撮影するというのが目的なので、あまり厳密に計算することは考えず、とりあえず100インチ程度までのスクリーンサイズで立体感を楽しめるような撮影方法を考えてみる。
今回のカメラセッティングのようなステレオベースが7cm程度の場合には、カメラから2~3m程度にメインの被写体を置き、そこから飛出し、引っ込みを考えるのがよいだろう。 例えば、5m先から人物が歩いてきて、2m先で止まり、そこからカメラ側に50cm手を伸ばすという感じでだ。 2m先の被写体をスクリーン上のニュートラルな定位と設定すると、5m先~2m先までの歩くシーンは引っ込み表現、そして2m先で止まったところがスクリーンと同一平面、そして手を伸ばしたところが、飛出しの表現になるといった感じで考える。 トーインセッティングの場合には、ビューファインダーを両目で覗いて立体視し、2m先の被写体がビューファインダー上でニュートラルな位置(飛出しも、引っ込みもしない±0な位置)に定位するように、カメラの向きを調整すればよい。 平行セッティングの場合は、無限遠方の被写体が、ビューファインダー内でニュートラルな位置になるようにカメラの向きを調整すればよい。

   Photo

また、画面のフレームにかかる部分での飛出しはチラツキや見難さの原因となるので、飛出しの演出を考える場合は、飛出す部分が、画面のフレーム内に収まるように演出を考える必要がある (これは立体画像の基本的ルールの一つで、ステレオウィンドウルールと言う。 編集の章でも詳しく説明する)

   Photo_2

平行セッティングで撮影する場合には、撮影時には全ての被写体が飛出し側に定位することになるが、編集時に左右映像のずれ量を調整することで、2m先の被写体がニュートラルな位置に定位するように調整する。

■飛出し、引っ込みといった立体定位は、編集時に左右のずれ量を調整することで、ある程度は後からでも調整できる。 時間的制約のある撮影現場などでは、編集時に微調整できることも考慮にいれておくとよい。

■ 編集時に左右のタイミングを判りやすくするため、カチンコなどで映像の頭に音をいれておくとよいだろう。(手を打つことなどで代用できる)
他の方法として、フラッシュを一発頭に入れるという方法もある。

■ 被写体が極端に近い場合には、遠方の被写体の視差が大きくなりすぎる場合があるので注意が必要だ。どうしても近くの被写体をアップで撮影したい場合には、ステレオベースを小さくするか、背景を無背景にするなどの工夫が必要である。

■ ズームを使用すると輻輳角が変化するため、最初のうちは使用しないほうが失敗は少ないだろう。 どうしてもズームを使用する場合には、あまり拡大しすぎないように注意し、また編集時にズーム開始時と、ズーム終了時の左右ずれを、キーフレームなどを利用して連続的に補正する必要がある。

■ 遠くの被写体(風景や建築物など)を、立体感を出して撮影する場合には、ステレオベースを大きくして撮影する。 その場合には、ビューファインダーでの直接的な立体視が難しいので、別にモニター用の小型カメラ2台を撮影カメラに接続し、そのカメラのビューファインダーを通して立体視するなど、モニタリングの工夫が必要だ。

■ 鑑賞時の立体感は、スクリーンサイズ(横幅)にも影響を受ける。 スクリーンが大きくなれば、同じ映像でも、相対的に視差が大きくなり、立体感が強調されるからだ。 また、スクリーン上で許容される視差量には限界があり、一般的には、飛出し側の最大許容視差は、スクリーンの横幅の1割程度とされている。 また、引っ込み側の最大許容視差は、目幅とおなじ7cm程度である。 そのため、被写体が近い場合で、遠方の背景などが映っている場合には、この許容視差をオーバーしてしまい、鑑賞時に目が痛いや、上手く立体に見えないなどの障害が発生するので注意が必要である。

次回は、「第4章 編集」の予定・・・

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コメント

スクリーン映写はほとんど経験が無いので、参考になります。
私の作品のほとんどは、映写で7cm以上のずれが奥行側に生じるので、NGっぽいですね。眼が外に開かないと立体視できない!

ステレオベース7cmくらいでも、近距離の撮影ではオーバーするので、ハーフミラー利用の接写のシステムは必要そうです。もしくはTX-1のようなスリムな機種を追加するかでしょうか。

投稿: おっと | 2008年9月10日 (水) 14時14分

>私の作品のほとんどは、映写で7cm以上のずれが奥行側に生じるので、NGっぽいですね。眼が外に開かないと立体視できない!

奥行き側が破綻する場合には救済方法があって、映写時に左右のプロジェクターを少しずらし、奥行き側の視差量が少なくなるように上映しちゃいます。 映像は全体的に前へ出ますが、ウィンドウの破綻などはなく上映可能です。(限度はありますが)

投稿: 関谷 | 2008年9月10日 (水) 14時52分

いやー頭が下がります。
時代は3Dムービーですねぇ。

私もなんとかしたいけど.....手描きじゃなぁ。
CGもアニメーションまでなかなか届かない。

けど、関谷さんの解説読んでがんばろーっと。

投稿: ima0G | 2008年9月10日 (水) 21時55分

CGでムービー作品つくってみたいです。

線画を書いては消して、書いては消して作られた、こんな作品も素敵です↓
http://fr.youtube.com/watch?v=LWAh4oGkiRY

投稿: 関谷 | 2008年9月10日 (水) 22時33分

あー。まぁこんな感じなら、
一つのステレオ静止画を作って消していって
逆回しすればできますね。

クレイアニメなんかも3Dムービーにするにはいいかもしれませんね。

投稿: ima0G | 2008年9月10日 (水) 23時34分

ima0Gさんのムービー是非見てみたいので、前向きにお願いします。
さて実は今度の日曜アナグリフの映写があります。
もう渡してしまい変更は難しいですが、見直してみると、、、
ヤバイ!7cm超えそうな場面が結構ありそう!
関谷さんの左右ずらし方法も、アナグリフには編集で応用出来そうですが、ゴーストが強いと見づらくなるかな?
もっとも当日のプロジェクターは事情により確認できないので、色調整もできず、立体視自体が危ないのですが。

投稿: おっと | 2008年9月11日 (木) 12時38分

パソコン画面だと、視差7cmって結構な量なので、ほとんど問題にならないのですが、スクリーンに大きく映写する場合には、7cmくらいあっというまに超えちゃうんですよね。
ただ、動画であれば、メインの被写体に視線誘導されている場合が多いので、背景まで見ていない場合が多く、問題にならないケースもあります。

PVとかだと、あまり背景は問題にならないかもしれませんね。
日曜のアナグリフ上映、成功を祈っておりま~す。

投稿: 関谷 | 2008年9月11日 (木) 12時58分

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