« 2008年8月 | トップページ | 2008年10月 »

2008年9月

2008年9月18日 (木)

3D Center 展示更新

アメリカ・ポートランドの「3Dセンター」は、立体写真/立体映像アーティスト作品を常設展示するユニークな博物館であり、2ヶ月に一度のペースで展示アーティストを入れ替えている。

9月11日~11月2日までの展示は以下の通り。

■立体写真展示
"Up From the Depths, TRIGGERED! In 3-D" by Georgette Freeman

■立体映像展示
"Mali: Magic + Mud" by J. Claire Dean

3Dセンター
http://www.3dcenter.us/

米ポートランドを訪れた際はぜひ→地図

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年9月14日 (日)

3Dムービーの作り方⑥

第6章 完成した立体映像の試写

 フリーウェアの「ステレオムービープレーヤー」(SMP)を利用して、立体映像を試写する方法を説明する。

アナグリフによる試写

完成したサイドバイサイドの映像ファイルを、ステレオムービープレーヤー(stvply)のアイコンにドラッグすると再生が始まる。

再生設定を 「アナグリフ」 にすると、赤青メガネを用いて立体映像を鑑賞することが可能だ。 (映像に赤色が多い場合には 「アナグリフ(カラー赤補正)」モードが見やすい)
凸凹感が逆の場合には「X」キーを押すことで凸凹が反転する。
また、「エンター」キーを押すことで、フルスクリーンで再生される。(下の写真はアナグリフで再生している様子)

アナグリフでは、色の正確な評価はできないが、普通のパソコン画面でも、赤青メガネを用いることで簡単に立体視できるので、立体感の確認作業や、WEB用の映像としては利用価値がある。

Screenimage39_

スクリーンへの映写

予算さえ許せば、サイドバイサイド映像を用いて、スクリーンに映写し、本格的な試写や上映を行うことも可能だ。 以下がそのシステム概要である。

    Digital3dprojector_01 

パソコンに、ビデオ出力を2本持つビデオカードを装着し、DLP方式プロジェクターを2台接続する (液晶方式のプロジェクターは偏光が既にかかっている場合が多く、3D映写には使えない場合が多い)
各プロジェクターの前には、偏光板を左右で90度回転させて設置し、左映像と右映像に偏光角が90度異なる偏光をかける (一般的には、偏光角が45度と135度の
「ハの字」になるように偏光をかける)
スクリーンは、3D用のシルバースクリーンを用いる (普通の白いスクリーンでは偏光が散乱してしまうため、3Dの映写には利用できない)
鑑賞者は偏光メガネをかけて鑑賞する。

パソコンの画面設定を2画面(水平スパンなど)に設定し、
再生ソフトのステレオムービープレーヤー(SMP)の再生設定を、「横並び」にして再生する。
2つのビデオ出力から、右映像と左映像が送出され、スクリーンに重なった状態で映写されればOKである。 下図の様なテストパターンを作っておき、左右の映像がスクリーン上で、ピッタリと重なるように、プロジェクターの角度や、キーストーン補正などを調整するとよいだろう。

01_450

制作した3Dムービーの評価

アナグリフ方式や、スクリーン映写方式で、制作した3Dムービーの試写を行い、以下の点で立体映像として問題がないかを確認する。 問題点があれば編集作業に戻って修正する。

左右のタイミングがずれている箇所はないか
左右のタイミングがずれていると、動きの早い箇所でチラツキを発生したり、立体感が不自然だったりする。 タイミングずれがある場合には、編集にもどって左右のタイミングを合わせなおす必要がある。

映像の上下ずれはないか
左右の映像で極端に上下ずれしている箇所は、見えづらかったり、気分が悪くなる原因になる。 上下ずれが発生している場合には、編集にもどって上下位置を再調整する必要がある。

ステレオウィンドウが破綻している箇所はないか
画面両端のフレームにかかる被写体の立体像が、スクリーン面よりも手前に定位することで、その部分でチラツキが発生する。 その場合には、編集に戻って左右ずれを再調整する必要がある。
ただし、あえてステレオウィンドウが破綻しても、メインの被写体を飛び出させるような演出をする場合もある (動画の場合、視線がメインの被写体にいくことが多く、画面の端はあまり気にならないという特性を利用した演出)

視差量は適当か
飛出し側の視差量  - 横幅の10%程度まで
引っ込み側の視差量 - スクリーンに映したときに、7cm程度まで

上記の視差量を超えていると、映像が立体に見えにくかったり、気分が悪くなったりする場合がある。 どうしても視差量が範囲を超えてしまう場合には、そういったカットは短めにするなどの工夫が必要だ。 また、とくに映像のコントラストが高い箇所で視差量が多いと、上映時にゴースト(2重像)となる場合があるので注意が必要である。

● 立体感が不自然ではないか
合成した部分や、文字乗せをした部分などで、前後の立体感に不自然な箇所がないか確認する。 前に乗せているはずの文字などが、後ろに写っている被写体より、さらに後ろに定位している場合などは、その部分が非常に見づらくなる。 そういった箇所がある場合には、編集に戻り、前に乗せている文字などの左右のずれ量を、再調整する必要がある。

だいたい以上の様な点で問題がなければ立体映像としては安全といえる。 あとは、ストーリー性やエンターティメント性など、映画としてのクオリティーが上がるように頑張ろう。 

3Dムービーは、普通のムービーのように、どんな風に作ってもよいというモノではない。下手に作ると、鑑賞中に目が痛くなったり、気分が悪くなったりという危険性があるためだ。 それに撮影も編集も、通常のムービーの2倍以上の時間とコストがかかると考えてよいだろう。

しかし、そんな苦労をしても作りがいのあるのが立体映像だ。 上映したときの観客の驚く様子を想像してみよう。  リアルな奥行きに感動し、飛出す被写体に手を伸ばし、飛んでくる物体を体でよける。 そんな3Dムービーを皆さんにも作って欲しい。

ということで、第1章~第6章まで、3Dムービーを作るうえでの基本的なことや、実際の編集方法などを説明させて頂いた。 少しでも立体映像をつくってみようという方の役にたてば幸いである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年9月12日 (金)

3Dムービーの作り方⑤

第5章 サイドバイサイドの映像を作る

 前回で作成した、編集済みの「左ムービー」と、「右ムービー」があれば、その映像ファイルを利用して、サイドバイサイドや、アナグリフ、インターレースなど、さまざまな3Dフォーマットの映像ファイルを作ることができる。

この章では、立体映像再生用ソフト(SMP)と、XGAクラスのプロジェクターを利用して、スムーズな3D映写ができるようにするため、サイドバイサイドと呼ばれる「左右横並び映像」を作ることを説明する。 サイドバイサイドは左右の映像が単純に左と右に横並びになっている3D映像フォーマットであり、左右の同期再生が簡単にできることや、伝送において圧縮をかけても左右の映像が混ざることがないため、利用されることが多い。

サイドバイサイド映像の例↓

Screenimage35_up

Premier 新規プロジェクトの作成
ビデオ編集ソフト「Premier Pro」を起動し、下記の要領で、サイドバイサイド用にHD(1920x1080)の横幅が2倍である 3840x1080サイズのプロジェクトを新規作成する。

Screenimage30b__sbs_3
    編集モード:デスクトップ
    フレームサイズ: 3840横  1080 縦
    ピクセル縦横比: 正方形ピクセル(1.0)   フィールド:なし

完成した左右のムービーファイルを読み込む
「ファイル」→「読み込み」で、先ほど完成した左右のムービーファイルを、それぞれ読み込み、タイムライン上に貼り付ける。

Screenimage31_

左右の映像を、横並びに配置する

左右の映像の「モーション」の値を下のように設定し、左右映像が横並びになるように配置する。

 左画像の横位置を960に設定         右画像の横位置を2880に設定

Screenimage3233__2

左右の映像がサイドバイサイド(横並び)に配置された様子↓

Screenimage34b__2

設定が完了したら「ファイル」→「保存」で一旦プロジェクトを「名前_sbs」などの名前で保存しておこう。

サイドバイサイドの映像を、エンコーダーで書き出す

サイドバイサイドの映像を、エンコードされたムービーファイル(圧縮されたムービーファイル)で書き出す。 ここで同時に画像サイズも半分に縮小する (3840×1080 →1920×540)  これは、現在の標準性能のパソコンでも、コマ落ちしないように再生するためのサイズ縮小であり、パソコンの性能が上がれば、3840×1080 のままでもスムーズな再生が可能になるだろう。

「ファイル」→「書き出し」→「Microsoft Media Encoder」を実行する。
今回、圧縮方式は Windows Media を用いる。

● Windows Media エンコードの設定
書き出し形式は、Windows Media を選択し、以下のような設定にする。

Screenimage37b_wm9 

      形式:Windows Media
      範囲:シーケンス全体
      ビデオコーデック:Windows Media Video 9
      エンコードパス:2パス
      ビットレートモード:固定
      フレームの幅:1920
      フレームの高さ:540
      フレームレート:29.97
      ピクセル縦横比:正方形ピクセル(1.0)
      最大ビットレート:10,000.00(10Mbps)
      画質:100.00

※ビットレートモードや、最大ビットレートなどは、希望する画質や、上映用パソコンの性能に応じて変更してほしい。 上の例そのままでも、現在の標準的性能なパソコンなら、問題なく再生できると思う。

エンコード設定が完了したら「OK」をクリックする。
ファイルの保存画面になるので、最終的なサイドバイサイド映像の
ファイル名を入力し、「保存」ボタンを押して、エンコードを実行する。

     Screenimage38b__2

エンコードには少々時間がかかる。 パソコンの性能にもよるが、10分尺程度の作品で、2~3時間必要だ。 こういう作業では、高性能なパソコンが欲しくなる。

エンコードが終了したら、完成だ。

これで、目的のサイドバイサイド映像が、Windows Media エンコードで出力することがでた。 次回は、このサイドバイサイド映像を利用して、実際に3D映像を試写し、評価する方法を説明する。

次回は、「立体映像の試写」を予定・・・

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年9月11日 (木)

3Dムービーの作り方④

第4章 編集方法

3Dムービーを鑑賞できるようにするには、編集作業が大切である。
通常のストーリーを組み上げる編集を行う前に、立体映像ならではの、「左右のタイミング合わせ」と、「左右上下の位置あわせ」の編集が必要となる。
今回は、ビデオ編集ソフト「Adobe Premier Pro 2.0」の操作画面で編集方法を解説するが、適宜お使いの編集ソフトの機能に読み替えていただきたい。 また、映像ソースとしてHDV (1440 ×1080) の左右映像を使って説明する。

編集ソフト Adobe Premier Proの新規プロジェクトを作成

ビデオ編集ソフト「Premier Pro」を起動し、
HDV 1080i 30 のプリセットで新規プロジェクトを作成する。
Screenimage1__4   

 
ビデオをキャプチャーする
「ファイル」→「キャプチャー」により、ビデオ映像をパソコンに取り込む。

キャプチャー設定は「HDV」を選択する。
左側のビデオテープ、右側のビデオテープをそれぞれキャプチャーする。

キャプチャーした左右の映像を、タイムラインにそれぞれ貼り付け、カットごとに「左右のタイミング合わせ」を行う

プロジェクトタグ内にキャプチャーした映像が読み込まれているので、それを video1, video2 のタイムラインに、それぞれドラッグして貼り付ける。
ここでは、video1 に右画像を、video2 に左画像を貼り付け、タイムラインの名前を「R」「L」に変更している。

Audio1, Audio2 の波形を参照し、左右映像のカチンコで入れた音のタイミングが合うように、映像を時間軸方向に移動させて左右のタイミングを合わせる。 (音と映像が1フレーム程度ずれていることがあるので、最終的には映像で左右のタイミングを確認する)
Screenimage3__3

Screenimage4_up_2_2   

左右映像のタイミングを合せたら、不要部分をカットする。

Screenimage5__2_2

カットごとに「左右映像の位置あわせ」をおこなう。

左右の映像の上下ずれ、ならびに左右ずれを調整する。
上下ずれの調整は、カメラの上下調整ずれをカバーするためである。
左右ずれの調整は、被写体の奥行き方向の定位位置を調整するためである。
(左右ずれの調整は、ステレオウィンドウの調整ともいいます)

実際には、モニター画面を見ながら、左右の映像を切り替え(タイムラインの「目」のマークをクリック)、 スクリーン上に定位させたい被写体が、モニター上で重なるように、左右映像の位置を調整する。
左右の映像を切り替えると、重なっている部分は左右に動かず、それより奥にある被写体(引っ込む被写体)や、手前にある被写体(飛出す被写体)は左右に動くことを確認しよう。
この左右に動く量が、視差である。 飛出す被写体の視差量や、引っ込む被写体の視差量を、この時点である程度推測しながら、左右のずれ量を調整していく。

Screenimage6__2

実際の位置調整は、「エフェクトコントロール」内の、「モーション」の数値を変更することで行う。
左右映像の位置調整と同時に、左右映像の明るさの違いや、色あいの違いが小さくなるように、ルミナンス調整や色調整をしておくとよいだろう。

            Screenimage7_up_2_3

解説 - ステレオウィンドウ調整のコツ

スクリーン面上に定位させたい被写体(飛出しでも、引っ込みでもない±0の位置に定位させたい被写体)を、モニター上で水平位置が重なるように、映像の水平方向位置を微調整する。

Photo 

このとき、スクリーンより飛出す被写体が、モニター枠よりはみ出していると、鑑賞時にその部分でちらつきが発生してしまう。 なので、飛出す被写体は、モニター枠内に収まるようにしよう。 撮影時にこのことを考慮しておくことも立体映像制作のポイントである。

         Photo_3   

 全てのカットごとに、左右映像のタイミング合わせ、位置あわせを行う

全てのカットごとに、ここまでの作業(左右映像のタイミング合わせ、位置あわせ)を
行い、調整済みのカットをつなぎ合わせて1本の作品に仕上げる。

マスクをかける

左右の映像を移動させたことで、画面の上下左右に隙間ができてしまったと思う。 その隙間を見えなくするためにマスク(黒枠)を作成し、映像にかぶせます。
マスクはPhotoshop等で作成する。 映像の移動量が大きくて、隙間が大きくなってしまった場合には、マスクの幅も大きく作る必要があり、最終的に見える部分が小さくなってしまう。

マスクをかぶせる前のモニター映像

    Screenimage8_

マスク(黒枠)
    Screenimage9_

最上層のタイムラインにマスクを貼り付ける

Screenimage10_

マスクが重ねられたモニター画面

     Screenimage11_

※ 平行セッティングによる撮影で望遠を使った場合など、どうしても隙間が大きくなってしまう。 そういった場合にはトーインセッティングをすることで、映像の移動量を少なくし、隙間を小さくすることができる。 ただしその場合、映像に台形歪が生じてきますので注意が必要である。

※ マスク法 vs  拡大法
以上で説明したように、左右映像の位置あわせをすると、上下左右に隙間が発生するので、それを解消するために今回の説明では「マスクをかける」方法を使った。 しかし、この方法以外にも、あらかじめ映像の大きさを101%~110%程度拡大しておいてから、位置あわせすることで隙間を発生させない方法がある。 この場合、マスクをかけたときのように映像が小さくなることはないが、画質が少し低下するので、どちらの方法を使うかは、予め検討しておく必要がある。

マスク法 - 長所:画質の劣化がない
       - 短所:映像のサイズが少し小さくなる
            (上映のときに、その分大きく映写すれば問題ない)
 拡大法 - 長所:画像サイズがフルサイズ
       - 短所:画質が劣化する

※CGで映像制作する場合には、横幅を少し大きくレンダリングすることで、左右位置調整をしても隙間が発生しない映像を作ることができる

左右画像の書き出し

編集が一通り終了したら、左の映像と、右の映像を、それぞれムービーファイルに書き出す。 今回は書き出した映像を、さらにサイドバイサイド形式に並べて利用するため、映像劣化のない非圧縮方式で書き出すことにする。 ただし、この場合、非常に大量のハードディスクを消費するため十分な空き容量が必要となる。
※ 多少の映像劣化が許される場合や、サイドバイサイドなどでの上映ではなく、左右それぞれの映像を直接映写するような場合には、MPEG2などの圧縮コーデックで書き出すことでハードディスクを節約することができる。

① まずは、左の映像をムービーファイルに書き出す

タイムラインの「MASK」 と 「L」を選択する
Screenimage13_l_2   

「ファイル」→「ムービーの書き出し」を実行し、画像の書き出しダイアログが出たら、ムービー名を入力した後、「設定」ボタンを押し、↓の様に設定した後、「保存」ボタンをクリックして実行する。

【設定画面】

「一般」にて、Microsoft AVIを選択する

Screenimage15_

 
「ビデオ」にて、圧縮 : None (非圧縮)
フレームサイズ : 1920 横, 1080 縦
ピクセル縦横比 : 正方形ピクセル(1.0) を選択する

Screenimage16b_ 

「キーフレームとレンダリング」にて、フィールド「奇数フィールドから」を選択する

Screenimage17b_

② 同様に、右の映像をムービーファイルに書き出す

タイムラインの「MASK」 と 「R」を選択する。

Screenimage18_r

「ファイル」→「書き出し」→「ムービー」を実行し、画像の書き出しダイアログが出たら、ムービー名を入力した後、「保存」ボタンをクリックして実行する。 (設定は、左映像と同様なので設定変更の必要はありません)

ここで、プロジェクトを保存し、一旦 Premier を終了する。

これで、編集済みの「左ムービー」と、「右ムービー」を、それぞれAVIファイルとして書き出すことができた。 後は、この左右のムービーファイルを、上映しやすいフォーマットに組みなおせばよい。 今回は、サイドバイサイドに再構築する。

次回は、「第5章 サイドバイサイドの映像をつくる」の予定・・・

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年9月10日 (水)

3Dムービーの作り方③

第3章 撮影方法

■ 立体映像撮影で最も大切なのは、カメラから被写体までの距離を考えて撮影することである。
カメラから被写体までの適切距離を厳密に計算するには、ステレオベースや、レンズの焦点距離、鑑賞時のスクリーンサイズなどを考慮にいれて複雑な式を解かないといけない。 ただし、今回は簡単に3Dムービーを撮影するというのが目的なので、あまり厳密に計算することは考えず、とりあえず100インチ程度までのスクリーンサイズで立体感を楽しめるような撮影方法を考えてみる。
今回のカメラセッティングのようなステレオベースが7cm程度の場合には、カメラから2~3m程度にメインの被写体を置き、そこから飛出し、引っ込みを考えるのがよいだろう。 例えば、5m先から人物が歩いてきて、2m先で止まり、そこからカメラ側に50cm手を伸ばすという感じでだ。 2m先の被写体をスクリーン上のニュートラルな定位と設定すると、5m先~2m先までの歩くシーンは引っ込み表現、そして2m先で止まったところがスクリーンと同一平面、そして手を伸ばしたところが、飛出しの表現になるといった感じで考える。 トーインセッティングの場合には、ビューファインダーを両目で覗いて立体視し、2m先の被写体がビューファインダー上でニュートラルな位置(飛出しも、引っ込みもしない±0な位置)に定位するように、カメラの向きを調整すればよい。 平行セッティングの場合は、無限遠方の被写体が、ビューファインダー内でニュートラルな位置になるようにカメラの向きを調整すればよい。

   Photo

また、画面のフレームにかかる部分での飛出しはチラツキや見難さの原因となるので、飛出しの演出を考える場合は、飛出す部分が、画面のフレーム内に収まるように演出を考える必要がある (これは立体画像の基本的ルールの一つで、ステレオウィンドウルールと言う。 編集の章でも詳しく説明する)

   Photo_2

平行セッティングで撮影する場合には、撮影時には全ての被写体が飛出し側に定位することになるが、編集時に左右映像のずれ量を調整することで、2m先の被写体がニュートラルな位置に定位するように調整する。

■飛出し、引っ込みといった立体定位は、編集時に左右のずれ量を調整することで、ある程度は後からでも調整できる。 時間的制約のある撮影現場などでは、編集時に微調整できることも考慮にいれておくとよい。

■ 編集時に左右のタイミングを判りやすくするため、カチンコなどで映像の頭に音をいれておくとよいだろう。(手を打つことなどで代用できる)
他の方法として、フラッシュを一発頭に入れるという方法もある。

■ 被写体が極端に近い場合には、遠方の被写体の視差が大きくなりすぎる場合があるので注意が必要だ。どうしても近くの被写体をアップで撮影したい場合には、ステレオベースを小さくするか、背景を無背景にするなどの工夫が必要である。

■ ズームを使用すると輻輳角が変化するため、最初のうちは使用しないほうが失敗は少ないだろう。 どうしてもズームを使用する場合には、あまり拡大しすぎないように注意し、また編集時にズーム開始時と、ズーム終了時の左右ずれを、キーフレームなどを利用して連続的に補正する必要がある。

■ 遠くの被写体(風景や建築物など)を、立体感を出して撮影する場合には、ステレオベースを大きくして撮影する。 その場合には、ビューファインダーでの直接的な立体視が難しいので、別にモニター用の小型カメラ2台を撮影カメラに接続し、そのカメラのビューファインダーを通して立体視するなど、モニタリングの工夫が必要だ。

■ 鑑賞時の立体感は、スクリーンサイズ(横幅)にも影響を受ける。 スクリーンが大きくなれば、同じ映像でも、相対的に視差が大きくなり、立体感が強調されるからだ。 また、スクリーン上で許容される視差量には限界があり、一般的には、飛出し側の最大許容視差は、スクリーンの横幅の1割程度とされている。 また、引っ込み側の最大許容視差は、目幅とおなじ7cm程度である。 そのため、被写体が近い場合で、遠方の背景などが映っている場合には、この許容視差をオーバーしてしまい、鑑賞時に目が痛いや、上手く立体に見えないなどの障害が発生するので注意が必要である。

次回は、「第4章 編集」の予定・・・

| | コメント (7) | トラックバック (0)

2008年9月 9日 (火)

3Dムービーの作り方②

第2章 ビデオカメラのセッティング

3dvideosetting_hc1

写真の様に、市販されている「カメラを2台横に設置できるバー」の上にビデオカメラ2台を取り付けるのが最も簡単な方法である。 ビデオカメラの横幅が小さいものであれば、目幅と同じくらいに取り付けることが出来き、両目でビューファインダーを覗くことができるはずだ(両目で覗くことで、被写体が立体的に見えることを確認してみよう)

厳密に見ると、ビデオカメラの取り付け具合や、ビデオカメラの固体差により、左右の映像に上下差や、傾きの違いが出ることが多い。 そういう場合には、薄い板などをビデオカメラとバーの間にはさみ、できるだけ左右映像に、上下差や、傾きの違いがないように調整するとよい。 もちろん撮影後の編集でも、ある程度は解消できるのだが、ここで出来るだけ誤差を少なくしておくにこしたことはない。

大まかなセッティングが完了したら、LANC コントローラを2台のカメラのLANC端子に接続する。 2台のカメラの電源スイッチを入れ、LANCコントローラで電源の入/切、録画の開始と停止、ズーム操作ができることを確認しておこう。 最後に2台のズームをワイド側いっぱいになるまで操作しておく。(撮影を開始ししたときに、2台のズーム量を一致させるため)

■カメラの向き(輻輳)
次にカメラの向きであるが、2台のカメラの向きを平行にする「平行セッティング」と、2台のカメラの向きをメインの被写体に向ける「トーインセッティング」がある。 それぞれに長所と短所があるが、初めての場合、比較的失敗が少ないのはトーインセッティングだと思う。 メインの被写体に向けてカメラを向けるので、ビューファインダーを通して確認がしやすいからだ。 ただし、トーイン撮影の場合、近い被写体では台形歪が生じてしまい、不自然に画面中央部分が出っ張ったり、画面の端で上下ずれが発生するといった障害がでる。 映像の品質という点では平行撮影が優れているので、それぞれを使い分けるのもよいと思う。

平行セッティング - 2台のカメラを平行に配置する方法
              Photo

【長所】歪のない映像を撮影できる。
【短所】左右映像の重なる部分が少なくなり、編集時に左右ズレを調整すると、マスク法では、最終的な映像サイズが小さくなる。 また、拡大法では拡大率を大きくする必要があり画質が若干劣化する。(マスク法、拡大法については編集の項目で説明します)

トーインセッティング - 2台のカメラをメインの被写体に向けて配置する方法(カメラが内側に向くことになる)

             Photo_2

【長所】左右映像の重なる部分が大きく、ほぼフルサイズで再生できる。
    撮影時に被写体の飛出し、引っ込み感を確認しやすい。
【短所】左右で台形歪が発生し、不自然に画面中央部分が出っ張ったり、画面の端で上下ずれが発生しやすい。

ビューファインダーでカメラの向きを確認
左右のビデオカメラを目幅の間隔でセッティングできた場合、左右カメラのビューファインダーを両目で覗き、立体視しながらカメラの向きを調整できる。 平行セッティングで撮影する場合には、無限遠の被写体がビューファインダー上でニュートラルな位置(引っ込みも、飛出しもしない位置)に定位するように調整する。 トーインセッティングで撮影する場合には、メインの被写体(スクリーン上でニュートラルな位置に定位させたい被写体)が、ビューファインダー上でニュートラルな位置に定位するように、カメラの向きを調整すればよい。

    Vf

HDで撮るか、SDで撮るか
大きなスクリーンでの上映を考えると、HDで撮影しておくほうが良いと言える。
HDで撮影しておけば、SDへのダウンコンバートも可能だ。
ただし、編集時に左右2本のHD映像を扱うことになるので、大容量のハードディスクが必要である(高画質を保って編集すると、1TBくらい楽に消費してしまう)
また、HDは16:9と横長画面なので、スクリーンの縦横比によっては、SDより小さな画面での上映となる場合がある。

次回は、「第3章 撮影」の予定・・・ 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年9月 8日 (月)

3Dムービーの作り方①

先日のシネマ秘宝館さんでの3D上映以降、自主制作映画を撮影されている方から、3Dムービーを自分でも作ってみたいが、撮影方法や編集方法がよく解らないという質問がふえた。 ハリウッドの映画も3D化されるなか、自分で撮影するビデオも3Dで撮ってみたいというのは自然な欲望だ。 しかし、それを実現できる3Dビデオカメラなどの民生品はまだ出てきていない。 現状で3Dムービーを作ろうと思うと、ビデオカメラを2つ用意して、同時に2台で撮影するという方法が一般的だが、ただその撮影方法や、編集方法などは、ほとんど知られていないのではないだろうか。

そこで、数回にわたり民生ビデオカメラを使った簡単な3Dムービーの撮影方法と、編集方法を説明してみようと思う。 ただ、あくまでも、私の方法の説明なので、もっとよい方法があるかもしれない。 そのへんはご了解いただき、もっとこうしたほうが良いのじゃないか、などの意見があったら、どんどん教えてほしい。

第1章: ビデオカメラの選択

では、まずどういったビデオカメラが3Dムービー撮影に向いているかを話そう。 今回は、簡単に始められることを考えて、民生品のみで考えてみる。 それでカメラの選択にあたり、まず大事なのはカメラのサイズだ。 普通に私たちが見ているような自然な立体感を再現するには、人間の目と同じようにビデオカメラ2台を並べて撮影する必要がある。 人間の目幅は約7cm。 なので、ビデオカメラも人間の目幅と同じ7cm程度で2台並べなければならない。 そうなると必然的にビデオカメラの横幅は7cm未満である必要がでてくるわけだ(*1) 実際に横幅7cm以下のカメラを探すと、それほど多くないが、もう少し条件を和らげて8cm以下くらいで探すと幾つかのビデオカメラを見つけることができる。

次に必要な要素として、2台のビデオカメラが簡単に同期(*2) できるかということだ。 同期の方法には色々あるが、簡単な方法としては赤外線リモコンを使い、2つのビデオカメラに同時にコマンドを送る方法だ。 カメラに赤外線リモコン機能がついていれば、簡単に実行できる。 ただし、屋外で直射日光があたっている場合などは誤動作しやすいので注意が必要である。 もうひとつの同期方法として、LANCコントローラ(*3) を使う方法がある。これは2台のビデオの外部リモート端子に接続して利用するもので、LANCコントローラの「RECボタン」や「ZOOMモダン」で、簡単に2台のカメラを同時に回すことができるという優れものだ。 このLANCコントローラを使うためには、ビデオカメラにLANC端子またはACC端子がついている必要がある。今回の説明では、LANCコントローラを用いて撮影する方法をお話したいと思う。

もうひとつ必要な要素としては、目で覗くタイプのビューファインダーだ。 最近のビデオカメラは、液晶パネルしか付いていないものが増えたが、3D撮影で実際に立体感を確認しながら撮影するには、2台のビデオカメラのビューファインダーを両目で覗きながら撮影するのが簡単なのである。 そのために覗くタイプのビューファインダーが付いている機種をお薦めする。

ということで、私が現在使っている小型ビデオカメラは、ソニーのHDR-HC1だ。 少々古い機種ではあるが以上の条件をほぼクリアしている。 最近ならHC-9などが使えるだろう。 もちろん、他の機種でも、条件があえば利用できるので、私はこんな機種で上手く撮影できたなどのレポートが聞けるとうれしい。

*1)  左右のカメラ間の距離をステレオベースといいます。風景や建物など、遠くの被写体を撮影する場合には、立体感を強調するためにカメラの間隔を広げて撮影する場合もあります。その場合には大きなカメラでも利用することができます。 また、大型のビデオカメラでもハーフミラーなどを使うことで、目幅とおなじ7cmといったステレオベースで撮影することが可能です。しかし、どうしても機材は大きくなり、コストも高くなります。

*2) 完璧に2台のビデオカメラを同期させるには、GEN-LOCK 端子の付いた業務用カメラを用いて、GEN-LOCK信号で2台の同期をとる必要があります。 今回は、手軽に撮影できることを考え、民生用カメラを利用しますが、この場合、左右のカメラは別々のタイミングで1フレームをスキャンするため、LANCコントローラなどを利用しても、最大で半フレームの同期ズレが発生する可能性があります。 ですので、あまり早い動きの被写体では、立体感がおかしくなったり、ちらつきを感じる場合があります。 このあたりは、クオリティーと制作コストのバランスになりますので、予め了承して撮影にあたる必要があります。

*3) LANCコントローラとしては、Rob Crockettさんが作られた「LANC Shepherd」などがあります。 http://www.stereoeye.jp/shop/index.html#camera-cont

ビデオカメラ2台のセッティング例↓

3dvideosetting_hc1_2

次回は、「第2章 カメラのセッティング」の予定・・・

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2008年9月 7日 (日)

ステレオクラブ東京【秋】例会のご案内

ステレオクラブ東京【秋】の例会が一週間後に迫りましたので、ご案内させて頂きます。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

■ 第37回 STEREO CLUB TOKYO 【秋】例会 ■

主催 : ステレオクラブ東京
日程 : 2008年 9月 13日(土)
時間 : 【開場準備】午後4時 【開演】午後5時~9時
場所 : 東京・天王洲ビュータワー2F特設開場
内容 : 立体写真/立体ムービの映写、ビューアによる作品鑑賞、歓談
   (作品をお持ちの方は、ぜひお持ちよりください)

初めての方の参加も歓迎いたします。
詳しくは↓をご参照ください。
http://www.stereoeye.jp/off

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年9月 1日 (月)

シネマ秘宝館で3D上映してきました。

土曜日・日曜日と新宿ロフトプラスワンで開催された「シネマ秘宝館」にて、3D映像を上映させて頂いた。

この「シネマ秘宝館」というイベントは、主に自主制作のショートフィルムをライブハウスで上映するというもので、今回で40回目を迎える。 特に爆笑もの映像や、アングラ映像の上映が多く、お酒を飲みながら、腹を抱えて笑えるのが特徴だ。 上映の後に繰り広げられる、斉藤館長と作者とのトークも絶妙で面白い。

http://www.geocities.jp/saitoukanchou/

で今回は、そんな爆笑上映会の一部として3D上映をさせていただいたわけで、こういった上映会での3D上映は珍しいのではないかと思う。

Cinemahihoukan02_600_ana

ただ、さすがに爆笑ものの3Dコンテンツをもっていなかったので、少々場違いになるのではないかと心配したが、飛出す映像は珍しいこともあり、皆さん偏光メガネをかけて盛り上がっていただいた。 3D映画「サムライ女子高生」の監督、ReQさんのトークも受けた↓

Cinemahihoukan03_600_ana

いや~、でもこういうイベントでの上映は楽しいなぁ~  うーん、「爆笑もの3D」や、「超アングラ内容の3D」なんていうコンテンツも制作したいな~

↓会場での3Dプロジェクターセッテイングの様子

Cinemahihoukan01_text_ana

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2008年8月 | トップページ | 2008年10月 »